『犬のしつけ』という本に、「犬をしつける目的は、犬を自由にするため」とあります。飼い主のそばを離れない犬なら、リードはいらない。吠えないようにしつければ、一緒にレストランにも行ける。子どもは犬とは違うけれど、しつけの目的が自由になること、というのは同じです。子どもたちは、いずれ親から離れて社会に入っていきます。その社会のルールが身についていれば、幼稚園、保育園に入っても自分らしく自由にふるまうことができます。しつけられていないと困るのは、子ども自身なのです。
しつけは具体的には、親が「枠をつくる」ことから始まります。たとえば、「お菓子が食べたい」という子どもに、「もうすぐごはんだから、今はお菓子は食べないよ」という枠を作ります。枠ができたことで、子どもの中には<「聞き分けなくちゃ」⇔「いやだ」>という葛藤が生まれます。葛藤といっても、お菓子に恋する未練心の方が強力で、「いやー! 食べるー!」と親の枠にぶつかってきます。ここで親が枠をゆるめてしまうと、葛藤を乗り越えて「聞きわける」練習ができません。ですから、親は枠をゆるめず、泣いたり騒いだりする子どもを「ただ今、失恋中!」と受け止め、「聞き分ける力」を育てましょう。
日本抱っこ法協会 公認ホルダー 阿部優美